(前回からのつづき)
そんな折、駅前案件の不動産屋さんU氏から着信アリ。
この時、駅前案件は、
このお化け屋敷を壊して新築で店舗付住宅を建てる
という前提でローン審査中でした。
土地の仕入れから上物の建築まで、
U氏のところで絵を描きますとのことで、
とりあえずローン申請をしたのでした。
全体的に融資額が大きいので、
ダメ元で申請してみたというところです。
本来なら、周辺情報など綿密に調査してから決めるのですが、
なんとなく知っている立地だったという妙な安心感と、
この時は、うすうす、
「ダメだろうな、ローン通らないだろうな」
と思っていたのと、
何より気分は高級住宅地案件だったので、
あまり真剣に調査もしなかったのです。
普段なら値段交渉もギリギリのせめぎ合い、
1円でも安く叩くところ、
ろくに交渉もせずに買付を入れてしまったのでした。
学生マンションがそこそこ高く売れそうだったので、
気が大きくなっていた、
という要因もあったと思います。
土地値が高いので指値していたのですが、
売主さんは折れる気配がなく、
最大限譲歩して50万しか下げられないとのことでした。
以前、別の建売業者が
鬼の指値をしたらしいのですが、
一蹴されて撃沈。
それ以来、
何度か業者から指値交渉があったが、
ことごとく折り合いが
付かずに今に至っているとのことでした。
土地の値段は駅前だし仕方ないかな、
上物が安く建てられればいいわけだし、
と思い始めていた頃でした。
U氏からの着信、
用件は以下の様な内容でした。
「ローン審査ですが、ちょっと難航しておりまして。
現在お持ちの物件2軒ともに第二抵当権を設定しても良いでしょうか?
第二抵当権設定させてもらえるのであれば可能性アリとのことです。」
なに?
第二抵当権?
なんだか、半沢直樹に出てきそうな用語が飛び出しました。
私:「え?私の所有している他の2物件はローンが残ってますよ。」
U氏:「そうなのです。ローンを組まれた銀行が第一抵当権なので、
その2番目 に抵当権を設定させていただきたい、ということです。」
私:「それって何か意味あるのですか?というか、学生マンションは
おたくで売却かけていただいていますよね?その、第二なんとかのせいで
売れなくなったら困るのですけど。」
U氏:「はい。売却の件は銀行もご存知でして、形式的なものです。
売却の際にはすぐに外すことが可能です。」
私:「ふーん。」
。。。しばし沈黙。
私:「それ了承しないと審査は先に進まないのでしょうか?」
U氏:「そうです。先に進まないのです。」
私:「じゃあ、とりあえず、ソレで進めてください。」
これは、銀行にしてやられたなと
後々後悔のタネになるのですが、
この時は知る由もありませんでした。
(つづく)